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弁護士法人卯月法律事務所
普通解雇とは,労働者に対する制裁として行われる解雇(懲戒解雇)以外の解雇をいいます。
解雇は,継続的な雇用関係を終結させるものですので,労働者側に雇用契約における労務の提供に支障をきたす状態が将来にわたって継続することが予想されること,当該解雇が最終手段として行使されるものであることが必要です。
この前提のもとで,各解雇理由ごとにその正当性の判断基準をご説明致します。
@病気・負傷の存在が労働能力の提供に及ぼす影響の大小
A回復可能性
B他の業務への配転可能性
を総合的に判断することになります。
病気や負傷によって,労務の提供に重要な影響を及ぼさない場合や労務の提供に支障がある場合でもそれが一時的なものであって,回復可能性が認められる場合には,解雇は無効であるとされます。
また,職種・職務が特定されていない労働者の場合には,従来の労務の提供ができなくなったとしても,会社の業務内容や規模から,他の作業に従事させることができる現実的可能性が認められるのであれば,解雇は無効であると考えられます。
@個々の雇用契約において労働者に求められている職務能力の内容
A当該職務能力の低下が当該労働契約の継続を期待することができないほどに重大なものであるか否か
B当該労働者に指導改善の機会を与えたのに改善されなかったか否か
C今後の指導による改善可能性の見込みの有無
等の事情を総合的に判断することになります。
新卒採用者の場合と地位を特定した中途採用や専門業務に従事する専門家としての採用の場合には,当該労働者に期待される職務能力は大きく異なりますので,解雇の相当性判断もまた異なりますので注意が必要です。
なお,会社の業績不振と関連して会社側が能力の低い労働者を解雇しようとするときには,後述の整理解雇となりますので,解雇の相当性の判断枠組みが異なります。
判断枠組み自体が異なりますので,単なる能力不足を理由とする解雇なのか,整理解雇なのかを明確に区別させることが重要となります。
労働者の協調性が欠けることにより業務の円滑な遂行に支障が生じ,他の従業員の士気にも悪影響を及ぼし,労働契約の継続を期待しがたいほど重大な支障が生じる事態になって初めて解雇が有効となると考えられています。
@欠勤・遅刻の回数
A程度
B期間
C態様
D理由
E勤務に及ぼした影響
F使用者からの注意指導の実績と労働者の改善の見込みの有無
などを判断要素として,相当性が判断されることになります。
欠勤や遅刻があったとしても直ちに解雇が有効とされるわけではありません。
業務命令違反,職場規律違反,不正行為などの非違行為は,企業秩序を乱すものとして,普通解雇ではなく懲戒解雇とされるのが一般的ではありますが,普通解雇とされる場合もあります。各種の非違行為の内容ごとに簡単に解雇の正当性の判断基準をご説明します。
判断基準
@業務命令や指示の相当性
A違反の程度・回数
B過去同種事案との均衡
C是正改善の余地
などから判断されることになります。
判断基準
@行為の理由・目的
A行為態様
B被害の内容・程度
C本人の反省態度
などから判断されることになります。
私生活上の非行は,一般的には,企業秩序・規律とは直ちに関係しないため原則として解雇理由とはなりません。
しかし,行為の態様が重大で,会社の従業員の私生活上の非行がテレビや新聞などで報道されることにより,会社の信用や名誉が毀損された場合などには例外的に解雇も相当と判断されることになります。
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